私に顔を与えて下さい~加工アプリの悩み~【物の気持ちシリーズ】

私には悩みがある そう 私には顔がないと言う悩みが…
ああ 神よ 何故私に こんな運命を与えたのか 恨みますぞ
人はみな美しい顔を持っている そしてより美しく彩ろうとする
しかし私には他人を着飾る技術 美白機能 フレーム機能 スタンプ機能などがあっても
己自身を輝かす己の顔がない
ゆえに スマホの加工アプリなんかに生まれた私は悲劇だ…
私は生まれて死ぬまで他人の顔をその画面に映せても己の顔は生涯見れない
だから美しさを極め 娘たちに私の望みを無意識に託しているのか
娘たちよ 私の代わりに私のぶんまで綺麗に 幸せになっておくれ
はじめは心からそう思っていた 本当にそう思っていた
しかし私は他人の娘たちの顔を借りて 美学を視覚的に伝える事で娘たちにひがみ 私自身を苦しめ始めた

真の内面の美しさまで映す事は出来ない
そして私自身の 己の顔すらも映せない出来損ないだ
あぁ誰がこんな運命を予測しただろうか 神がいるならば恨みますぞ
私は娘たちが頼るほど美しさについて知っているのに
エフェクト らくがき テキスト 娘たちを美しく変える加工ならいくらでも出来るのに
こんなにも美しくなる術を持っていても 私この技術を使っても自分自身を輝かせられない
私は真っ白だ 私には顔がない 加工の技術がどんなに優れていても 他人を化粧出来ても私には何もない
こんなに美しい 誰よりも美しい私が叫んでも叫んでも叫んでも あぁ なんて歯痒き事だろうか
これが加工アプリゆえの運命なのか 私は何故人の女子(おなご)に生まれる事が叶わなかった
神よ もしいるのだとしたなら私は永遠に顔をくれなかったあなたを恨みますぞ
どうすれば私の美しさを示せる?己の美しさを人の目に焼き付けられる?
私はどんな顔なのだ 私はどんな女だ 可愛いのか 奇麗なのか 妖艶なのか 卑猥なのか 私はどんな
私には自分の顔がない いつも私を使う娘たちの顔を借りて美しさを伝える他にない
私を魅せる術がないこの悲しみをどうかわかってくれ この呪いの悲しみをわかってくれ
もしも加工アプリのその役目を終えて私が死んだなら次こそは人の娘に生まれたい
そしてその時は美しくなくてもいい ただの平凡な田舎の女でもいい
ただ普通の女として平和な生を送りたい それだけでどんなに幸福だろうか
今の私は加工アプリだ
きっとこんな気持ちをわかってくれるのはプリクラを仕事にしてるあいつしかいない
私には悩みがある 私には顔がないと言う悩みが
プリクラのあいつも同じはずだがあいつは無類の女好きだ おそらく私ほど深刻に考えてはいまい
しかし あいつしかおらぬのだ 今の私のこの思いをわかるであろうやつはあいつだけなのだ
顔のない美への探求心は女にしかわかるまい
明るさも角度調整も自在に操って美に悩める娘の力となり 盛れる機能として娘たちをデコり
与えられた己の役目を果たしていればいつか私は人になれるだろうか
例えば来世生まれ変わったら職業はメイクアーティストかデザイナー
今持っている技術を引き継いで生まれ 今度こそは己の能力で私に磨きをかけ 平凡な女は世界に出る
神よ もしも私の願い叶えてくれるなら次の世でいい 私に顔を与えてはくれないだろうか
今は娘たちの顔を借りて いつか己の顔で持てるこの技術を存分に使ってみたい

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