朗読「靴下、はきませんか?」

いつも足と靴の間に僕は挟まれている
名前は靴下
素肌に直接へばりつく僕の事を、あなたは考えた事がありますか?
ちゃんと足は洗っていますか?
どうもあなたからは悪臭が漂っている気がするんです。
とくに夏、汗ばむ身体から流れる液体が足の先まで到達して
殺人的な臭いが他人の迷惑を考えず
そして僕は 臭い足と靴の間に挟まれて痛くて痛くて
そんな僕の痛みや苦しみに気付いてくれる人もいなくて辛いんです。
「直接地面に押し付けられ」
「凸凹道の硬さを知る靴に比べたらいいんじゃないか?」と言う仲間もいますが、そうとは言い切れません。確かにコンクリートの上を歩かされる靴も大変かと思いますが
僕だってそんな靴と足の間で苦労しているんです。
どっちがマシとは言いませんが、
新しい靴なんかを僕の持ち主が買おうものなら靴擦れで指先から血が滲んだり、
靴下はバンドエイドじゃないのに家に着くまで放っておかれたり、
家に着いても靴と違い僕は洗濯機の中に投げ込まれて目が回るその中へ・・・
息が出来ない水の中へ送られて
靴の知らない痛みを靴下の僕は知っているんです。
解りますか?この苦労が・・・解りますか?あなたに。
えぇ えぇ まぁ 解らないでしょうよ
でもね そんな事はいいんです 解らなくてもいいんですよ
ただ少しでも靴下のね 僕の苦悩を考えて頂ければそれだけで・・・
でも最近では嬉しい事に靴下の僕も有名になってきましてね
原宿や横浜 いろんなところに僕の専門店も建ったんです
いろんな種類の靴下があって 長いのやら短いのやら暖かいのからそうでないものまで、
それに薄いのから厚いの。
それにしても人間は靴下の気持ちを考えた事があるのでしょうか?
素肌に直接へばりつく僕の事を、あなたは考えた事がありますか?
ちゃんと足は洗っていますか?
どうもあなたからは悪臭が漂っている気がするんです。
足と靴の間で僕はいつも踏まれて はぁ~あ どんな時でも生きているんです。
あなたの足を優しくガードして、きれいに魅せるために
長年使ってもらって伸び切ってもやぶれても「少しくらいは・・・」って
それでも捨てずに使ってくれる人もいます。
僕の友達のストッキングはなかなかそうは行かないようですが
すぐに捨てられる子が多いらしいですが
まぁ いろいろありますよ 靴下の世界にも・・・
ところであなたはどうですか?最近良い事ありました?
人間も僕達も似たようなもの
あっちからもこっちからもいろいろな攻め方をされて
荒波に揉まれ洗われて、時にじゃり道、時に平ら道、靴下も人間の人生も大変ですね。
しかし何度やぶれても再生出来る人間は強いですよ
この時代になってリサイクル使用で僕達も少し生かされるようになった、とはいえ
まだまだ人間と比べたら寂しいものです。
本当にいろいろありますが、道を間違え 危ない場所へ行きそうになったら
足を洗って そこからまた一からすべてをやり直せばいいんです。
焦らずゆっくり歩いて そのために そこのあなた ほら これを聴いてるあなたですよ
「靴下、はきませんか?」

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